インターネット革命の続きを描く──AI とロボットの橋渡し
革命は“脳”から始まり、“身体”へ向かう
2022 年末、生成 AI「ChatGPT」が登場し、世界を瞬く間に席巻した。
GMO インターネットグループは、産業革命は約 55 年周期で繰り返されると捉えている。そして、まさにそのタイミングは、1995 年の Windows 95 登場により始まったインターネット革命の折り返し地点と重なるものであった。インターネット革命の“後半戦”は AI である。そう確信した瞬間でもあった。AI の進化は、もはや情報流通の枠に収まらず、産業構造そのものを根底から変えようとしていた。
AI は“脳”となり、人に代わって考える存在となる。しかし、社会課題を本質的に解決するには“身体”が必要だ。
AI に身体を与える存在、それが「ロボット」であった。
日本では 2040 年に 1,100 万人の労働力が不足するという危機的な見通しが示されており、少子高齢化に伴う人手不足はますます深刻さを増していた。こうした社会課題の解決と、日本経済の持続的な成長のためには、AI とロボットの融合が不可欠であると確信した。
GMO AI&ロボティクス商事の設立
2024年 6 月 18 日、東京・世田谷区用賀にある GMO グローバルスタジオにおいて、GMO インターネットグループがロボット産業に参入することを発表した。その中核を担う企業として、「GMO AI&ロボティクス商事株式会社」(略称:GMO AIR)の設立も同時に発表された。「AI とロボットをすべての人へ。」というコーポレートキャッチが掲げられ、誰もが最先端技術の恩
恵を享受できる社会を目指す旗印となった。
代表取締役社長には、グループ生え抜きの内田朋宏が就任。「次世代の産業革命をリードする『AI とロボットの総合商社』として、日本社会に新たな価値を提供し続けていく」と抱負を述べた。この設立発表は、「AI とロボットは相思相愛の関係にある」という印象的な言葉とともに伝えられ、AI がロボットという身体を得て実世界で活躍する時代の到来を予感させるものであった。
新たなロボット流通を目指す GMO AIR
新会社 GMO AIR は、ロボットメーカーではない。世界中から優れたロボットを調達すると同時に、GMO インターネットグループが 30 年にわたり培ってきたインターネット基盤(ネット回線、ドメイン、クラウド、SSL、決済、セキュリティなど)や、金融サービス(機器レンタル・リース、ローン、保険、助成金申請支援)を組み合わせて提供する独自モデルを掲げている。
さらに、グループ内の AI 研究開発の知見を活かし、AI 導入コンサルティングからシステム開発、人材育成、スタートアップ投資までをワンストップで支援する総合商社を目指すと発表された。
新たなビジネスモデルの構築だが、それだけでは終わらない。GMO AIR が描くのは“導入して終わり”の世界ではない。
ロボットが実際に現場でどう動いたか、どのように観察し、判断し、どんな失敗をしたか──そのすべてを記録・蓄積・解析する。個体ごとの学習を超えて、複数台による“全体最適”を実現する。それが、GMO AIR が構築する「インタラクションデータプラットフォーム」という概念である。このデータはロボットメーカーにもフィードバックされ、ロボットのさらなる進化を促すことにつながる。このような GMO AIR の取り組みは各方面から多くの耳目を集め、その活躍領域は着実に広がっている。
2025 年 4 月にはヒューマノイドロボットの人材派遣型サービスを提供開始。従来の物販型とは異なる、人とロボットが協働する社会の実現を目指したビジネスモデルへの転換であった。
GMO AIR の誕生は、まさに分進秒歩で変化する AI 時代における新たなロボット流通の幕開けであった。